11 22
2018/11/22(木)
天気:くもり
【第4回】品質保証部長が語る!◆納豆にカビが生えてきた…という話
パンなどで分かるように時間が経つとカビが生えてくる食材は多いものです。
今回は納豆菌が大量に繁殖しているはずの「納豆」に、そもそもカビが生えるのかという件について考えてみたいと思います。
納豆菌を噴霧された煮豆が納豆になるまでの温度と時間ですが、納豆は醗酵室という47℃~50℃の環境下で全体を通して約20時間程度(ほぼ一晩)で納豆になります。
粘っていて臭いも普通の納豆であるならば、この時の煮豆内の菌叢(きんそう:いろんな菌の集団)は納豆菌が圧倒的に数的有利な状態になっています。
一方、カビなどはその繁殖に適性な温度とされている20℃~25℃におかれたとしても5日間要してやっと出てきます。そもそも納豆菌とカビは繁殖の温度帯も時間も違います。
従いまして納豆製造段階では、たとえカビ菌の付着があったとしてもカビが発現することはありません。納豆菌が強く優勢なので繁殖できないのです。
それにもにもかかわらず、納豆にカビが生えることがあります。
非常に稀にではありますが、お客様から寄せられるお申し出での中に「納豆にカビが生えていた」という声があります。そして、そのほとんどが以下の保管条件下にあったケースでした。
① 納豆を長期保管しようとして冷凍保管していたものを解凍し、その後、冷蔵庫に置いておいた場合
② 納豆の賞味期限を過ぎてもしばらく(2週間以上)冷蔵庫に入れておいて納豆の表面の一部が乾燥を起こした場合
要するに、納豆の中で優勢を誇っていた納豆菌が活性を失った状態下になると、これまで納豆菌に対して劣勢で出てこられなかったカビ菌が後になって発現してくるという現象です。
製造現場全体が完全な無菌室であれば、納豆菌だけしかいない環境にすることもできるかもしれませんが、空気中に浮遊している僅かなカビ菌が煮豆に付着してそれが特定の状況下で納豆菌に成り代わって部分的に生えて出てくるという現象です。
私達工場としては室内クーラーや空調の衛生管理の徹底は納豆へのカビ防止のために重要な活動になります。